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2020.9.20 COLUMN

支払われない養育費~確保のための支援制度~

2割という現実

ひとり親家庭で、別居している元配偶者から養育費を受け取っているのは約2割。非常に少ないのが現実です。

2割という数字から2つのことが読み取れます。

①別居親は払わないことが多い。

②払わない相手から養育費を取り立てることは非常に難しい。

この現実に対処するためのサポートがいくつかの自治体で始まりました。今回は、自治体において少しずつ広がりつつある養育費確保のための支援制度について説明します。

この制度の仕組みと、利用するには何をすればいいのかもお伝えします。

養育費確保のための支援制度の仕組み

ひとり親家庭が契約した養育費の保証を取り扱う民間の保証会社に支払う保証料を、自治体が補助する支援制度です。補助の内容は自治体によって異なります。

①ひとり親家庭と契約した民間の保証会社が、別居親(元配偶者)の養育費不払分を立替えて、ひとり親家庭に支払う。

②立替払いした保証会社が、別居親(元配偶者)に、立替えた分を督促し、回収する。

①②により、ひとり親家庭は、養育費相当額を得ることができ、また、不払いのときに別居親(元配偶者)に催促したり、回収したりといった手間とストレスがなくなります。

制度を利用するには

①養育費を決めておく。

養育費の額や支払期日を、公正証書調停証書といった債務名義と言われる文書で作成しておく。(この債務名義と言われる文書については後ほど説明します。)

②お住まいの自治体が窓口なので、自治体にこの制度の利用を申し込む。

③ひとり親家庭は保証会社と契約し、保証会社に保証料を支払う。

自治体は、ひとり親家庭が保証会社へ支払う保証料を補助する、という形になります。例えば、豊島区では、要件をクリアした場合、初回保証料について補助するとなっています。https://www.city.toshima.lg.jp/259/2002251331.html

どの部分が補助されるのか、また、要件も各自治体によって異なります。上記①②③を同時に進めることもあります。お住まいの自治体が現在この制度があるのかも含めて、各自治体ホームページで確認してください。

制度がなくても諦めない

お住まいの自治体に現在この制度がないからといってすぐに諦めずに、先ずは①の債務名義と言われる文書を作成しておくことが大事です。この支援制度、お住まいのところに今はなくても、流れとしては広がることがかなり見込めるからです。

①少子化への対策として、子供を産み育てやすい社会にすることは、各自治体の命題であることは共通認識となっている。

②自治体がサポートせずに困窮する非課税所得世帯が増加するより、日頃から少しずつサポートして自立した世帯を増やしたほうがトータルでみると自治体の負担は少ない。

そのため、今この制度がお住まいのところになくても、この制度ができたときのために、①の債務名義と言われる文書は必ず作成しておきましょう。

債務名義について

公正証書調停証書などの債務名義と言われる文書は、立替払いした保証会社が元配偶者である別居親に立替分を請求するときに必要になるものです。公正証書は公証役場で、調停調書は家庭裁判所で作成されます。

どちらを利用するかの判断ですが、二人で話し合える状況なら公正証書で、第三者(調停員など)を交えたほうが話し合いがうまくいきそうなら、家庭裁判所の調停調書で、というのが判断基準になると思います。

大事なこと

⑴妥当かつ必要な額の養育費を、きちんと債務名義の形にしておく。

そして、もう一つ、大事なことがあります。

⑵相手への負の感情を養育費の話し合いに持ち込まない。

この⑵ですが、別れる原因となった互いの負の感情を、子供を養育するためのお金や額に持ち込むのは筋違いの話です。この養育費の場面では特に感情は置いて、我が子が育つために妥当な額か冷静に二人で検討するという姿勢が大事です。我が子のため、という共通の目的の場面では割り切って臨むことがポイントになります。

当事務所では、ひとりでお子さんを育てている方のご相談(一時間程度)は無料、作成費用は分割払いが可能です。

九段南行政書士事務所