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2022.5.22 COLUMN

亡き父の相続手続を終えて

3か月で終えた相続手続

父が去年の10月に亡くなって半年が経過した。
亡くなった直後は、葬儀社に連絡することから始まってとにかく手続きに追われた。
が、様々な手続をしなければならなかったことが反って私には良かった。悲しみが紛れた。
様々な手続を終えた今、父がいなくなったことがただただ悲しい。

相続手続は3か月ほどで終えることができた。
かなりハイスピードなほうだと思う。
相続人は母と姉と私の3人。母は高齢のため、実際の相続手続は姉と私でやった。
各書類の作成は私が担当。姉は戸籍謄本など各必要書類を取り寄せたり提出したりとフットワーク軽く動いてくれた。
姉も私も仕事があるので、面倒なことは早く済ませてしまいたい、との思いが一致していた。
でも、早く終えられた一番の要因は、父が生前に整理してくれていたからだ。

父作成の財産目録

父は75歳頃から亡くなる84歳まで毎年財産目録を作成(更新)していた。
父が仕事を辞めたのがちょうど70歳のときであったから退職後5年経ったころから終活の意識が芽生えていたことになる。
几帳面な父は、各口座の残高も毎年記載し、各通帳の届出印も明示してくれていた。
證券会社はネット証券を利用していていたが、ログインパスワードも記載されていた。
勝手にログインすることはないからそこまで必要ないのでは、と思ったが、晩年父が入院した際には代わりに見て報告したりと役に立った。
父は、スマホの機能は電話とメールと動画視聴しか利用していなかったため、入院中はネット証券の資産状況を自分で確認できなかったためだ。
他には、所有している不動産、手元現金が記載されていた。手元現金は金額も具体的に記載されていた。
更に、医療保険、終身保険、加入年金の種別も記載されていた。

父は理系で法律の知識があったわけではない。新聞等で得られる程度の相続関係の知識はあったと思うが、この財産目録は、父の几帳面な性質によるものだと思う。

財産目録の説明

父は80歳を過ぎたお盆休みのとき、私たち三人を集め、作成している財産目録の説明をした。そして手元現金と大事な書類関係の所在を財産目録と共に明示した。
元気な父だったので急にどうしたのかな、と思ったが、元気なうちでないとこうした説明はできないものだと私と姉は認識していたので、父が自分からこうした機会を設けてくれたのは有難かった。

直ぐにできた遺産分割協議書

父が亡くなって一週間後には遺産分割協議書ができていた。
家の中の財産関係の各書類をあれこれ探し回らずに済んだのは父作成の財産目録のお陰である。
父がきちんと整理して、かつ、明示してくれていたお陰だ。
私たち三人は、滞りなく財産目録をもとに遺産分割協議書を作成することができた。
父には感謝しかない。

助かった手元現金

父が用意してくれていた手元現金のお陰で私たちは金融機関に直行する必要がなかった。
直ぐにある葬儀社への支払い、火葬代、四十九日の法要・納骨代、父の入院費の支払。
父が用意してくれていた手元現金で全て賄うことができた。
支払の度に誰が負担するかなど決める煩わしさがなかった。
父は自分で概算を見積もっていたのだと思う。(入院は予想外であったと思うが。)

相続手続を終えて思うこと

用意周到な人であった。
最後まで私たちに負担をかけない人でもあった。

生前は父のことを細かくて人に甘えられない人だとマイナスに見ていた面もあった。
しかし、一連の手続を終えて感じたのは、思いやりのある人だったということ。
スムーズに負担なく相続手続を終えられたこと、それ自体、私たち残された者への父の思いやりを強く感じる。

父の生前の準備は私たちへの思いやりに基づくものだと私は感じることができた。
相続手続を経て、私は父の人となりを更に知ることができた。(了)