★我が家の場合、任意後見契約の必要性を感じない⁉︎
私は隣りに81歳と84歳の両親が住んでいます。父は要介護2で判断能力はありますが、年相応の記憶力です。また、悪性リンパ腫の闘病中でもあります。母は要介護1で判断能力は補助程度といったところでしょうか。
私がプライベートで両親に任意後見契約の必要性を感じているか、といったら、正直、答えはノーです。
両親が介護サービスを受けるにあたって介護事業所との契約も問題なく行えましたし、生活費の出し入れも(いいかどうかは別として実情では)キャッシュカードを預かればできますし、姉との仲も悪くないので、姉じゃなくて私が親の財産を管理する、というような特別な動機もないので、必要性を感じる場面がないのです。
同じような状況のご家庭なら必要性を感じることはないのではないかと思います。
もちろん、今後を見据えて、このような状態の両親なら、今のうちに任意後見契約をしたほうがいいと考える方や専門家の方もいらっしゃると思います。仕事柄私も親が年老いたら考えないといけないかも、なんて思ってました。
でも、実際に両親の介護が始まってみると、後見契約が必要な人、必要でない人が見えてくるようになりました。一概にお勧めするものではないと思うようになりました。
ある日突然に介護申請の必要を感じて申請をし、いろいろな事業所の方とすんなり契約を終えた今、正直必要性を感じることなく今に至るという感じです。
我が家と同じような状況のご家庭なら、任意後見は利用しなくてもなんとかなるでしょう。
ただし、今現在の状況が、「我が家と同じような状況のご家庭なら」ということだと思います。
要介護の認定後、訪問診療、訪問看護(リハビリ)、ヘルパー支援と様々なサービスを受けるための契約をしてきました。
両親が契約した事業所の場合ですが、契約書の署名欄は、「利用者」とその下に「利用者代理人」欄が当たり前のようにあり、ケアマネさんが「親御さんは書くの難しいですか。」「そうですかー。それなら娘さん書いてくださいねー。」ということで、私が利用者欄に父(母)の名前を書き、利用者代理人欄に私の名前を書き、そして、それぞれ押印もすれば契約はおしまいです。
当たり前に利用者代理人欄がありますが、この欄の記入にあたって、両親の判断能力云々の話はでてきません。
このように日常の介護サービスの契約で後見人を立てる必要性を感じることはありませんでしたし、その他の場面でも今のところは全く必要性を感じていません。
後見制度の主軸は身上保護と財産管理ですが、我が家のような状況なら後見制度を利用しなくても身上保護も、そして、財産管理もこの先も何とかなるのではないかと思っています。
★では、どのような状況の方に後見契約の必要性があるのか
「健康状態を気にかけてくれたり、お金の出し入れも信用して任せられたり、介護申請・契約などの手配もしてくれるような方がすぐ傍にいらっしゃらない方」かと思います。家族に限らずそのような方が傍にいれば、我が家のようにどうにかなるのではないかと思います。
そのような方が傍にいらっしゃらない場合に、信頼できる(と思える)士業の方にお願いするのがベストだと思います。
もし将来私の傍に任せられる人がいないなら、私は、弱ったなと思い始めたときに、信頼できると自分が思える専門家を諦めずに探し、この人にお願いしたい、と思えた方に受任をお願いするでしょう。まだ元気なうちに任意後見契約を締結して備えることで安心して日々過ごしたいと思うからです。
また、自分の財産の後片付け、道筋をつけておきたいという思いから、公正証書遺言或いは自筆証書遺言は作成しておきます。
更に、自分の死後、様々な手続きをしてもらうために死後事務委任契約は必ず締結します。生前契約していた様々な手続きの処理、お墓の手配、知人への連絡など様々な死後の手配をお願いするためです。
こうしておけばいざというとき一人でも安心して老後を過ごせるように思います。
正直、親の介護が始まってから任意後見契約は本当に必要なものなのだろうかと考えるようになりました。そして、本当に必要な状況は限られると思うようになりました。
私自身、お客様の状況に応じて柔軟に最善の提案を常に模索していきたいと改めて思いました。九段南行政書士事務所