🍀母からの電話
お昼休みに母から電話がかかってきました。
「あのね、今ね、銀行にいるんだけど、警察の方がお話があるって。」と、一方的に話が始まり、電話を代わったらしく、「〇〇警察署〇〇課の〇〇です。娘さんの〇〇さんですか。お母様がですね、振り込み詐欺と思われる電話を受けられて、〇〇銀行でお金を下ろそうとされて、銀行さんから連絡を受けましてね、駆けつけたんです。娘さんの住所、お名前、生年月日、職場、連絡先も教えていただいてもよろしいですか。」と聞かれ、なにがなんだか分からないけれど、警察らしいと思い、そのまま素直に受け答えをしました。
「お母さんに捜査に協力して欲しいんです。娘さんに同意していただきたいと思いまして。自宅にお金を取りに行くから、又後で電話すると言われたそうなので、ご自宅でお金を渡すようにして、私達はご自宅の周囲に待機し、受け子がやってきたら捕まえる、という段取りで進めたいのですが。すみませんが協力していただけますか。」「はい。わかりました。よろしくお願いします。」と言って、私は電話を切りました。
職場に居た私は茫然となりました。
そのやり取りを側で聞いていた同僚が、「どうしたの?連絡先とか答えていたけど、大丈夫?」
同僚に経緯を話すと「え、電話口で最初はお母さんだったんだよね?そのあと電話を代わった警察官は本当に警察官か分からないよ。その人も偽者かもよ。」
私は急に焦ってきました。
🍀警察に確認する
劇場型で警察官と名乗った人も偽者で、母が受け子達を家にまで上げてしまったら、、大変なことになる!と思うと、気持ちが焦ります。
警察に確認したほうがいいよ、という周囲の声もあり、思い切って、警察署に電話をしました。
本当の警察官だろうし、一生懸命捜査してくださっているのに、疑うなんて申し訳ないなぁ、と思いながらも。。
結果、その名前の警察官は実際に所属していて今は振り込み詐欺の件で外に出ている、とのこと。本当にホッとしました。「疑うようなことをして失礼で本当にすみません。確認した方が安心だったので。」と電話口の方にお詫びすると、「確認されたほうがなんでも安心です。確認していただいたほうがいいんですよ。」と言ってくださいました。
🍀労わるはずが。。
心配なのとその後の経緯を知りたくて夕方仕事中に母に電話をしました。
電話をする前に心を整理します。心配と同時に情けなさ、少しの怒りも感じます。
心の整理をしないと、何でそんなのに引っかかるのよ!何してるの!等と責めそうです。穏やかに、穏やかに、と自分を言い聞かせます。母が一番落ち込んでるはずだからと。
心を整理して電話をしてみると、母が、「この寒い中、警察の方はまだ待機してくださってるけど、振り込み詐欺からは何の連絡もまだないの。」「寒い中、本当によくやってくださるのよ。」と。
私は聞きながら少しイラッとしてきました。気持ちを抑えようと努めながらも、「自分が引っかかったからでしょう。」とついつい口調は嫌みっぽくなります。すると母は、「〇〇(孫の名前)が資格取るためにお金がないって言うから銀行におろしに行ったのよ。〇〇が言うから。」と、まだ言うのです。
遂に私は、「だからぁー、それは〇〇じゃないの!!」「騙した人よ!あのね、騙されたのよ!」とハッキリ言いました。
電話を切って、もう少し優しくするんだった、と直ぐに後悔が押し寄せます。
仕事が終わって、母から留守電が入ってました。
「日も暮れて、犯人から電話もないので、警察の方も解散しました。報告です。今日は疲れたので早めに寝ます。」とメッセージ。
怒られると思って直には話したくないのかな、と思いつつ、気になるので私から又架けます。
すると、「今日は疲れたわ。あなた今どこから電話してるの?あそこの美味しいパンが食べたいから買ってきて。」と母。
なんだ、案外元気じゃない。はぁー。そういえばこういう人だった、と溜息が出る私。
こちらは気を揉んでたけど、寝たい、美味しいもの食べたい、買ってきて、と。
気が抜けました。落ち込んでるかもと心配になったりイラっときたり、いろんな感情が交錯してしまい、離れていてもぐったり私は疲れてしまったけれど、案外母は元気そう。少し母に呆れましたが、これで良かったんだと思い直しました。
🍀気になることが二つ
結局、受け子が現れることもなく騒動は終わりましたが、気になることがありました。
・振り込み詐欺グループにうちの情報が漏れているのか?
・受け取りに行く、又電話する、と言っていたのに何故現れなかったのか?
このニ点です。
一つ目は、母の話から判明しました。
電話がかかってきたとき、全て自分から情報提供を実はしているのです。
聞き取り辛いと、「誰?〇〇(孫の名前)?」と、孫の名前を自分から電話の相手に最初に教えているのです。
すると、相手は、「うん、そう、〇〇だよ。」あちらは反復するだけでOKになります。
こうなると、〇〇の前提で話が進みます。「〇〇は、今、学校じゃないの?どこから?」と今度は母が聞くと、「そう、学校だよ。」と電話の向こうから返事がきます。
こんな調子で、全部母の方から情報提供がどんどんされていたのでした。
次に二つ目ですが、家の所在を知られていて今度は家が狙われたら怖いですから、警察の方にお礼かたがたお尋ねすることにしました。
振り込み詐欺がその日現れなかったのは、「彼らはどんどん電話をしますから、お母様よりもっと確実なターゲットがその日はその後に見つかったのでしょう。」とのことです。その日はいずれにしても被害者が出た可能性があります。本当にお気の毒です。
対策についてもお尋ねしました。「高齢の方は固定電話のほうがどうしても身近ですから、せめて、留守番電話設定にしておくといいですよ。彼らは留守番電話と分かると直ぐに切って、次の電話をしますから。」とのことでした。
彼らは片っ端から電話するそうですから、運良く相手が出たらラッキー。そして次にお金を下ろす段取りまで上手く進んだら更にラッキーで、その中でもより確実なターゲットに向かう、という手順のようです。
相手はプロの犯罪集団ですから、高齢者が一人で電話に出てしまったら、もうお手上げ、くらいに思ったほうがいいです。私は大丈夫、騙されるなんて信じられない、とタカを括らずに。うちの親も以前そう言ってましたから。
相手はプロの詐欺集団です。心理操作も巧みです。
今回も、「本当は200万いるんだけど、今日100万入れればどうにか間に合うんだ。」と母に言ったそうです。200万から100万の減額、そして、切迫性のアピール。
よーく考えられたシナリオです。
判断能力が衰えてきた高齢者が騙されるのも仕方ないことだと思いました。
正直、私も自信がありません。プロの詐欺集団に一人でまともに太刀打ちできるとは思えませんし。
一番の対策は、接点がないようにすること。これに尽きると思いました。同じ土俵に上がらないようにする。つまり、予防しかありません。
知らない相手の電話には一切出ない、こちらから電話をしない、という環境設定の徹底です。
これは繰り返し言われていることですから、留守番電話設定にもしていなかった時点で、私達のほうに落ち度があったのだと思います。
自治体広報でもニュースでも毎度再三注意喚起がされているのに、、本当に情けない話です。体験しないと身に沁みない我が家でした。
年末、気忙しい日々が続きます。皆様、くれぐれも振り込み詐欺にはお気をつけください。九段南行政書士事務所