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2020.12.21 COLUMN

飼い主の死後、ペットの世話を託する方法について

~自分が亡くなった後、残されたペットの世話をしてもらうためには、どうすればいいの? 

 愛犬や愛猫は、家族の一員であると思っている方は沢山いらっしゃるでしょうし、単身で生活していたり、同居の親族や相続人が動物嫌いであるケースなどでは、自分の死後、そのような可愛いペットの将来がどうなるのか不安を抱いている方も多くいらっしゃると思います。今回は、現飼い主の死後、残されるペットの世話を託するにはどうすればいいのか、についてお話しします。

1 残されるペットのために① 負担付遺贈の方法

 財産を所有できる主体は「人(法人も含みます。)」に限られますので、ペット自身に財産を残すようなことはできません。

 そこで、遺言により、ペットの世話をお願いする信頼できる人物(知人や親族など)に、ペットの所有権とともに相応の財産(預金等)を遺贈し、財産を取得する代わりに、ペットの世話(飼育)、埋葬、供養等を行う義務を負担させる、という方法が考えられます。

 この場合、遺贈を受ける人(受遺者)は負担付遺贈を自由に放棄することができますので、生前、ペットの世話を託そうとする人物に、飼い主としての心情や、飼育等の具体的内容に関する希望(愛情をもって誠実に世話をすること、手厚く埋葬し、供養することなど)をよく説明し、その了承を得ておくことが重要でしょう。

 また、遺言執行者を指定しておくことも大事です。もし、受遺者が財産を取得しておきながら、ペットの世話をしない場合には、遺言執行者は、相当の期間を定めて履行(ペットの世話)を催告し、それでも受遺者がその期間内に履行しないときは、裁判所に遺言の一部(ペットに関する負担付遺贈部分)の取消しを請求することができます。このように、遺言執行者については、いわば監督者のような役割を期待することができ、遺言者の思いの実現を確保する一つの方法といえます。

2 残されるペットのために② 負担付死因贈与の方法

 次に、負担付死因贈与の方法も考えられます。死因贈与とは贈与者の死亡によって贈与の効力が生じる贈与契約のことをいいます。そして、ペットの世話に関する負担の内容は、前記1の負担付遺贈の場合と同じです。

 遺贈と大きく異なるのは、遺贈が遺言者の単独行為であるのに対し、死因贈与は、贈与者(飼い主)と受贈者(ペットの世話等をする人)との間の契約である点です。

 したがって、契約ですから、死因贈与の一方的な放棄などは考えられませんし、財産を死因贈与する代わりにペットの世話等を義務付けることは両者間で合意済みですので、負担の履行の確実性はより高いといえます。

 死因贈与でも、遺言執行者を指定することができると解されています。その監督者的な役割は前記のとおりです。

 また、死因贈与では、負担の履行(ペットの世話)を贈与者(飼い主)の生前から行うこととすることもできます。これも遺贈と異なる点です。

 残されるペットのために③ 信託の方法

 適切な環境下での継続的なペットの飼育を実現するために、次のような信託のスキームが考えられます。

 信託財産➡相応の額の「金銭」(ペットの今後の飼育に必要な一定の金額になります。)

 信託目的➡「ペットの今後の飼育費用等を確保すること」「ペットがその生涯にわたって適切な環境下で飼育されるために、飼育をする者に対しその費用等として必要な資金を供与すること」

 (当事者)

 委託者➡現飼い主

 受託者➡ペットの飼育に理解を有し財産管理処分を行ってくれる者

 当初受益者➡現飼い主

 第2受益者➡現飼い主(委託者)死亡後に、ペットの遺贈を受けてその飼育に当たる者

 信託期間➡ペットが死亡するまで

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