両親の急速な老い
現在83歳の父と80歳の母がいるのですが、去年までそれぞれ自分一人で通院できていました。しかし、今年に入って、通院が一人では難しくなってしまいました。
経年的なものかもしれませんが、今年に入ってからの両親の弱り方は急速な感じです。
コロナで自粛生活になったことが影響しているように思えてなりません。
コロナによる生活様式の変化。そのストレスに持ち堪えるにはかなりの体力気力が必要です。
そして、外出を控えることによる、体力の低下と脳への刺激の減少。
これらが80代の両親の老衰の速度を進めているように思います。
コロナ前の父は町内の老人会に入り、毎週カラオケも楽しんでいました。カラオケなんてとんでもないということで自粛に入り人に会う機会が一気に減りました。家で声に出して練習することもなくなりました。
高齢者にとってのカラオケは、人との交流、そして、お腹から大きな声を出す良い機会だったんだなぁとつくづく感じました。
母は、咳喘息もあり、マスクをして外を歩くとすぐ息が苦しくなるので、マスクをしないで終日家に居ることが増えてしまいました。
コロナによる生活洋式の変化に伴い、今まで元気だった親が今年に入って急速に何かしら具合が悪くなっていると感じる方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
医師の言葉が聞き取れていない
この夏、母が薬により一時期せん妄状態になりました。母を病院に連れて行った姉が帰ってきて言うには、「ばあばは、お医者さんの言ってることを殆ど理解できてないよ。」と。
姉によると、母は、先生が何か言うと「はい。」と返事はするけれど、理解しての「はい」ではなくて、先生の喋るのに調子を合わせて相槌として言ってるだけ、とのことでした。
病院を出て、姉が、「お医者さんは何て言ってた?」と確認のために聞いたところ、「何て言ってたかしらね。何て言ってたの?」と聞き返してきて、先生の言ってたことは何も聞き取れていなかったそうです。
母は最近耳が遠くなっているのは確かで、更にマスクを通しての先生の声は正直聞き取れていなかったのでしょう。
先生が何か喋って語りかけていることは音として入るため、調子を合わせて、「はい」と先生の話の区切りや語りかけに応じて言うけれど、先生の言葉一つ一つは聞き取れていないのでした。
母によると、「先生が早口で声も小さいときは、何を言ってるんだろうと思うけれど、その間に診察は終わってしまう。」とのことでした。
歩けて物理的にはひとりで通院できていても、注意が必要です。
また、高齢者への語りかけは、音のボリュームだけでなく、話すスピードもゆっくりを心掛けないと伝わらないと思いました。
「はい」と言えば、事は進んで行くので、病院の先生に迷惑はかけてはいませんが、診察を受けても聞き取れず理解もしていないようではこちらが心配になってしまう、という話になり、それからは通院にはなるべく付いていくか、或いは、姉も私も働いているので、今後は土曜日の訪問診療も検討しようということにその時になったのでした。
母への語りかけに感じた違和感
母のケアマネさんにより介護計画が作成され、最近は、ヘルパーさん、看護師さん、お医者さん様々な方が母のところに出入りするようになりました。
こんなに行き届いているのかと感激し、皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
ただ一つ気になることがありました。母に赤ちゃん言葉で話しかける方がいらっしゃいました。
私は、母が赤ちゃん言葉で話しかけられたことに傷ついてないかと心配になりました。そして、一方では、こんな風に話しかけられたら、頭がしっかりしている人でもその気になってかえって老いるのでは、とも思いました。母が馬鹿にされているようにも感じました。
後で、「赤ちゃんみたいに話しかけられるの嫌じゃなかった?」と母に尋ねました。「あぁそういう方も居たわねぇ。この人はそういう風に私に喋るんだわ、とは思ったけど、そんなに気にならないわ。」とのことで、私はほっとしましたが、自分が気になっていたので、かえって母には感心してしまいました。
自分が年取ったときは赤ちゃんみたいに接してほしくない、馬鹿にされてるみたい、と私は思ったのでした。
老いへの受容の差?
でも、一方で、本当に分からなくなったら何語で喋りかけられても分からないのだから、そんなに気にすることでもないのかなぁとも。
私は受け入れがたいと思ってるのに、母は抵抗ない様子。これは、母は自分の老いを相手の接し方も含めて受容しているからだろうか、とも。
或いは、元々私よりおおらかだからかなぁとも。色々考えてしまいました。
考えてみると、その人のキャラクターに合わせて言葉遣いを変えるのも大変なこと。ただでさえも大変なお仕事なのに、語りかけにまであれこれ言ったら求め過ぎかもしれません。
こんなことにイラッとくるようでは、私は歳をとったら、嫌がられるお年寄りになるなぁと、そんなことまで思いました。
ゆっくり、分かり易く、大きな声で、これだけ意識するのも難しいものです。更に、相手の方の自尊心も傷つけずに。
おおらかな人もいれば私のように敏感に反応してしまう人もいるでしょう。
自分はこんなに敏感に反応するのに、私自身、年配の方とのコミュニケーションは今まであまり気にせず、自分のペースで話していました。
今回母のことで、自分も気をつけなきゃと思った次第です。九段南行政書士事務所